本当の人間らしい姿である。
ところが人間というものは、
どちらかというと現実のほうへいく人と、
どちらかというと、理想のほうへいく人とある。
本当にこれが統一されて少しも危なげのないものを
「中(ちゅう)」という。
中道は難しいというのはここでもわかる。
理想家肌というのは少し空想的。
現実家肌というのは少し堅すぎて、
進歩性がなくなるというふうに分かれて、
なかなか「中」にはいけない。
「中(ちゅう)」というと、
相対するものを結んだその真ん中を
「中」というと考えるが、
それは「中」の一番幼稚な段階。
本当の「中」というのは矛盾撞着しているものを
解決して高いところへ進める――これを「中」という。
安岡正篤
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