鴻、未だ至らざるに、先ず弓をひき、兎、既に亡ぐるに、再び矢を呼ぶは、
総て当機の作用に非ず。
風、息む時、浪を起こすを休め、岸の至処に便ち船を離るるは、
わずかに是れ了手の工夫なり。
<訳文>
獲物のおおとりが、まだ現れないのに、弓に矢をつがえて引き絞って
待ったり、兎は逃げてしまったのに、次の矢を持って来いと叫ぶよう
なのは、すべて的外れで、時宣を得た動作とは言えない。
風がやんだら浪を立てるのをやめ、船が岸についたところで直ちに
船から降りるようならば、それでようやく時機に応じたやり方で
あると言える。
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