西洋文化は大体individualism、個人主義の上に立っておる。
これに対して我々の方は、統一、含蓄、言い換えれば、
自分というささやかなものから、少しでもこれを摂取する
根源の大生命に帰一して生きていこうという本領を持っておりますから、
没我的である。
個我的・主我的なる精神の発達として、権利概念・平等思想というものが生じる。
これが正しく発展いたしますと、各人各個の自覚が明瞭になりまして、
お互い同士の間に、義務を明らかにして共同組織、共同動作が発達します。
これによって社会という大きな体系的生活が自治的に調和的に営まれ
ていくということができます。
ところが一度これに失敗しますと、権利・義務の観念、平等主義の観念が、
排他主義・利己主義・分裂主義となります。
活眼活学
安岡正篤
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