この『オランダ興亡史』の中に、バーガーが、
「領土だの物資だのというものが、その国の偉大さに関するものは、
そんな領土や資源や貿易ではなくって、国民の能力であり、国民の精神である。
殊に後者の国民精神の問題である。
これの旺盛な国民は、必ず、どんなに困ってもまた勃興する。
航海に例えを採れば、よく規律あり訓練ある乗組員であれば、
荒波をくぐり抜けることもできるが、秩序の乱れた、精神のこもらぬ船員共では、
沈没の危険があるのと同じである。
その意味において政党政治は非常に注意を要する。
国あることを知らず、ただ党あるを知り、その党よりも実は己の利を図るばかり
というように、政党が堕落してオランダも衰退してしまった。
だからどうしても、己よりも党、党よりも国家という精神に燃えた政党員を作らなければ、
到底、政党政治というものも国民のために危うい」ということを痛切に論じておる。
それが行かずにだんだん悪くなると、どうしても革命を招来する。
革命というのはやむを得ざることであるが、無条件で肯定できない。
非常に注意を要するものです。警戒を要するものです。
略
やむを得なければ革命もなければならないが、それはあくまでも正しく賢明に行われねばならない。
一番望ましいことは、革命など要らない「絶えざる生新」則ち維新であります。
活眼活学
安岡正篤
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