2011年3月19日土曜日

放射能内部被爆についてのツィートまとめ(東大病院放射線医療チーム)

放射能の内部被爆に関する東大病院放射線治療チーム(http://twitter.com/team_nakagawa)
のツィートまとめ。(元ツィートへのリンクあり)

以下スタート

内部被ばくが実際にどの程度の影響があるのか、という質問が多いので、それについてご説明します。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987018696474624


私たちは、大気、大地、宇宙、食料等からも日常的に放射線を浴びています。
これを「自然被ばく」といいます。放射性物質を含む水や食物を体内に取り込むと、
体内の放射性物質が、体内から、放射線を発します。この日常的な水や食物からの
内部被ばくは、主にカリウムによるものです。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987204772573184

カリウムは、水や食物などを通して、私たちの体の中に取り込まれ、
常に約200g存在します。 その内の0.012%が放射能を持っています。
すなわち日常的に360,000,000,000,000,000,000個の ”放射性”カリウムが、体内に存在しています。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987285076705280

”放射性”カリウムは、体内で1秒間当たり6,000個だけ、 別の物質(カルシウムまたは
アルゴン)に変わります。 これを「崩壊」と呼んでいます。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987393944072192

そして、崩壊と同時にそれぞれの”放射性”カリウムが放射線を放出します。
これが内部被ばくの正体です。 1秒間あたり6,000個の崩壊が起こることを、6,000Bq(ベクレル)
と言います。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987446419001344

例えば今、”放射性”ヨウ素が、観測によって各地で検出されています。
その”放射性”ヨウ素が含まれた水を飲むと、内部被ばくが起こります。
この影響はいったいどれくらいでしょうか?
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987501037232129

福島原発から約60km離れた福島市の18日の飲料水に含まれていたヨウ素の崩壊量は、
最大で1kgあたり180Bq(ベクレル)でした。1秒間に180個の崩壊が起こっているということです。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987556372692992


ヨウ素が甲状腺に取り込まれる割合を20%とし、その放射能が半分になる日数を6日と仮定できます。 現在の福島市の水を毎日2リットル飲み続けると、720Bq(ベクレル)の内部被ばくを受けることになります。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987704460976128

現在の福島市の水を毎日2リットル飲み続けると、720Bq(ベクレル)の内部被ばくを受けることになります。これは、先ほどのカリウムによる日常的な内部被ばく(6,000Bq [ベクレル])の8分の1以下です。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987811981950976


もちろん、取り込まれ方や崩壊の仕方はカリウムとヨウ素で異なるので、正確な比較ではありませんが、今観測されている放射性物質の影響をこのように見積もることができます。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/48987899005382657

食品についての放射能の測定が始まっており、牛乳などから、わずかな放射能が検出されたと報じられています。しかし、「牛乳問題」は“期間限定”です。
そもそも、なぜ、牛乳が問題になるか、順に解説していきます。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49019672565260288

史上最大の放射事故であるチェルノブイの原発事故では、白血病など、多くのがんが増えるのではないかと危惧されましたが、実際に増加が報告されたのは、小児の甲状腺がんだけでした。
なお、米国のスリーマイル島の事故では、がんの増加は報告されていません。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49019890429984768

放射性ヨウ素は、甲状腺に取り込まれます。これは、甲状腺が、甲状腺ホルモンを作るための材料がヨウ素だからです。なお、普通のヨウ素も放射性ヨウ素も、人体にとっては全く区別はつきません。物質の性質は、放射線性であろうとなかろうと同じだからです。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020022366019584

ヨウ素は、人体には必要な元素ですが、日本人には欠乏はまず見られません。
海藻にたっぷり含まれているからです。
逆に、大陸の中央部に住む人では、ヨウ素が足りたいため、「甲状腺機能低下症」など、
ヨウ素欠乏症が少なくありません。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020169770643456


チェルノブイリ周囲も、食べ物にヨウ素が少ない土地柄です。こうした環境で、突然、原発事故によって、ヨウ素(ただし、放射性ヨウ素)が出現したので、放射性ヨウ素が、住民の甲状腺に取り込まれることになりました。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020389803831296

ヨウ素(I2)は水に溶けやすい分子です。原発事故で大気中に散布されたヨウ素は、雨に溶けて地中にしみ込みます。これを牧草地の草が吸い取り、牛がそれを食べるという食物連鎖で、放射性ヨウ素が濃縮されていったのです。野菜より牛乳が問題なのです。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020450415714304


結果的に、牛乳を飲んだ住民の甲状腺に放射性ヨウ素が集まりました。
放射性ヨウ素が出す“ベータ線”は、高速の電子で、X線やガンマ線とちがって、
質量があるため、物とぶつかるとすぐ止まってしまいます。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020493688348672


放射性ヨウ素(I-131)の場合、放射されるベータ線は、2ミリくらいで止まってしまいますから、甲状腺が“選択的”に照射されるわけです。放射性ヨウ素(I-131)を飲む「放射性ヨウ素内用療法」は、結果的には“ピンポイント照射”の一種だと言えます。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020540211564544



子供たちは、大人よりミルクを飲みますし、放射線による発がんが起こりやすい傾向があるため、小児の甲状腺がんがチェルノブイリで増えたのでしょう。ただし、I-131の半減期は約8日です。長期間、放射性ヨウ素を含む牛乳のことを心配する必要はありません。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020602002055168


I-131は、ベータ線を出しながら、“キセノン”に変わっていきます。(ベータ崩壊)8日が半減期ですから、I-131の量は8日で半分、1ヶ月で1/16と減っていきます。3ヶ月もすると、ほぼゼロになってしまいますから、「牛乳問題」も“期間限定”です。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/49020699779670016


以上
2011年3月19日 18時現在分

リンク
2011年3月15日~17日分のツィートまとめへのリンク
http://www.u-tokyo-rad.jp/data/twittertoudai2.pdf


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