2010年4月6日火曜日

幸福度調査に見る開業率をあげるための具体的な処方



日本はバブル崩壊以降、開業率よりも廃業率が上回っているそうです。
もともと、日本の産業構造は、官主導の製造業を中心とした大企業を
頂点としたピラミッド型であるため、ここ10年の情報化の変化への対
応に関しては四苦八苦している状況といえるのではないでしょうか?

また、情報化とあいまったグローバル化の進展もあり、変化へ対応の
遅れが産業構造の硬直化を招き、結果として産業の競争力を落とす結
果となっていますね。

中でも、中小企業の衰退は目を覆うばかりです。

企業後の生存率は、設立5年=15% 設立10年=6% 設立20年=0.3%
といわれています。

規制も多く、法人税も高く、銀行融資はタイトであり、直接金融によ
る資金調達も機能しておらず、ベンチャーキャピタルやエンジェルの
投資が活発なわけでもない日本では、開業よりも廃業のほうが多くて
当たり前といえば当たり前なのではなのでしょう。

先日のブログで書いた幸福度調査の結果においては、幸福度が高さ
につながるポイントとして以下の3つがあげられていました。


①経済の安定した先進国では、経済発展が幸福度に及ぼす影響が薄れ
ている。富そのものでなく、「富を得ることで生き方を自由に選択で
きるようになったこと」が国民の幸福度を高めている。

②「経済の発展と幸福度の関連は弱くなっている」
中南米諸国に見られる、貧しい国における幸福は、「密に結びついた
共同体の連帯意識、宗教的信念、愛国心」などと重ね合わせることが
できる。

③「社会的寛容性も重要」である。調査開始以来の幸福度推移を見る
と向上しつつあるが、男女平等、マイノリテイや同性愛者の受容が進
んでいる欧州諸国が上位に上がった大きな理由になっている。


端的に言えば、選択の自由が多く、社会全体で、互いを支える絆があ
り、懐の広い寛容な社会である、ということができるのではないでし
ょうか。

さらに、幸福度1位のデンマークの事例を見れば、医療費等の生命に
かかる費用は負担が実質0。

つまり、経済で命の心配をしない社会が約束されているということで
すね。(その分、負担も多いということがありますけど、だから政治
腐敗は許さないという社会全体のムードが醸成されているようです。)

これを元に、開業を増やす為の方法を考えてみました。

①個人保証制度の廃止
実際のところ、事業に失敗し、借り入れによって調達した資金の支払
い能力がなくなると、原則破産することになります。破産したら資産
価値のある不動産等は差し押さえられ競売に掛けれます。

しかしながら、借り入れを起こしているのは法人で、業務を執行して
いるのは取締役会ですから、個人補償を求めるのはそもそもナンセン
スです。

②個人資産の担保組み入れの禁止
同じく、融資にあたっては個人資産の担保を要求されることがありま
すが、事業を見極めるのであれば、株式なりを担保にしたほうがよい
のではないでしょうか。そうすれば、債務返済能力がない経営者はや
めて頂くことができますし、経営責任も明確にできます。(銀行には
5%ルールがありますので5%以上の株式の引き受けは難しいですが。)

もしくは事業に関する重要資産に担保設定をするほうがよいのではな
いかと思います。

③連帯保証制度の廃止もしくは変更
一般的に連帯保証を取る場合は、その事業に関係がない人の保証のほ
うが、受け入れられるケースが多いです。また、同じ会社の役員・従
業員では連帯保証人として不的確であるとされることが多いものです。

ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行のように、融資の際に複数人
の保証人を求めて弾力的な融資をおこなっている銀行もあります。

連帯保証人制度の運用方法によっては、その企業の絆を深めることに
もつながりますので、連帯保証人制度にあたっても廃止するか、法人
の執行責任者(=取締役会)全員に求めることがよいのではないでし
ょうか。

もしくは、個人保証と同じように廃止したほうがよいと思います。

現在でも、事業に失敗すれば収入の道は閉ざされ、債務履行ができな
くなれば破産することになります。

この状況では、独立開業が増えるわけはありませんね。
一生懸命やらなければ、事業は上手くはいきません。

一度失敗をしてしまうと社会復帰は困難です。ですが、一度失敗した
人でも、事業活動を通して得た経験は社会全体にとって有益なもので
す。

保証人制度は、開業率を増やして経済を活性化する目的の元では社会
全体のコストを高めるだけですので廃止したほうがよいのではないで
しょうか。



1 件のコメント:

  1. 一生懸命やっていれば伸びたのは右肩上がりの時代だけですね、これからは創意工夫が求められますが、将来不安は創意工夫の芽を摘むことになりますね。

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